炎天下の中、西成の街を徘徊。こういう時には、50円自動販売機が非常に役立つ。
ガラガラの朝鮮店の前でよく冷えたお茶をゴクリと飲む。丁度日陰になっており、その場に座り込む。
そこへ、ホームレス風のおじさんが話し掛けてくる。
内容は、亀田3兄弟、辰吉丈一郎、赤井英和は俺が教えたといった噴飯物の内容。そして、急に立ち上がりシャドーボクシングを始める始末。その後は、スチュワーデスが何故キャビンアテンダントと呼ばれるようになったか、自分はドイツ語を話せるとかいった正直、嘘臭い話。そして、自分はマンションに暮らしているといった、どう見ても怪しい話。

おじさんの相手も飽きてきて、じゃあ用事があるのでと言い、立ち上がる。まだ話し足りなさそうなおじさんが、何の用事かと聞くので、冗談交じりで薬を探していると答える。急に真顔になったおじさんは「付いて来い」と顎でしゃくる。

いや、良いですよ と俺。おじさんは有無を言わさない様な顔付きで俺の肩を掴む。そして、2人でマンション内に入る。マジでマンションに暮らしてやがる。

エレベーターで5階へ。扉が全開になった部屋には、汚い靴が何足も脱ぎ散らかしてあった。おじさんがその部屋を覗くと、数名の男のお疲れ様ですという声が聞こえるが、顔は確認出来ない。

「どうした、入らんかい」さっきまでの口調と全く違う。

「いや、やっぱりいいです」と俺。

「何や、怖気づいたんか?それならいね!さっさといなんかい!」と般若の様な顔付きで怒声を浴びる。

俺はすみません、と言いながら全速力で階段を駆け下りた。


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写真を乗っけて大丈夫かなあ。このマンションの5階。部屋番号は覚えていない。薬なのか、タコ部屋なのか、それともヤ●ザの事務所なのか?ヤ●ザの事務所なんてVシネマでしか見た事が無いから何とも言えないが、ただ一つ言えるのは、興味本位で下手に首を突っ込んではいけないという事。もしかしたら監禁をされていたかもしれないし、違法薬物を買わされていたかもしれない。もしくは、身ぐるみを剥がされていたかもしれない。逃げて大正解であった。


ドヤに戻り、水シャワーで多量の汗を流す。エアコンをガンガン効かせた部屋で発泡酒を一気飲み。ただのホームレス、或いは支離滅裂の酔っ払いと余裕をかましていたら、このザマである。嫌悪感と安堵感が入り混じり、溜息を吐いた。俺は一体何をやっているのだろう。1人で遊郭巡り、遊園地のプール、そして密売人探し。ひらパーのプールはカップル、友人同士、家族連ればかりであった。本来ならば、遊園地なんぞは子供を連れて行くべき場所ではないか?


罪悪感も加わり、自問自答をしていたら、うつらうつら。気が付いたら20時であった。5時間の睡眠…もう一度、風呂に入り、シャワーを浴びる。しかし、風呂場にいた先客が嫌な咳を連発していたので、結核に罹患でもしたら堪らないと思い、浴室からすぐに出る。

朝にモーニングを食べたきりだったので腹が減っていた。かといってジャンジャン横丁や、通天閣付近まで歩いて行くのは正直、億劫である。なので、ドヤの斜め前にある難波屋という有名な立ち飲みに行こうとしたが、労務者風の客ばかりで混雑をしていた。入るのに勇気がいる。いや、正直に言えば、入る勇気が無い。


仕方なく、動物園前商店街の普通のお好み焼き店に入店。勿論、入店前に客層を確認した。


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至って普通の味。


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値段は安い。

もう、西成は充分である。明日は昼前には帰る事にした。