安いスーツと安いビジネスシューズを買い与えられた俺は疑問を感じていた。少なからず、2点で金額が3万は超えた筈だ。その金はどうするのか?その場で支払いは求められなかった。となれば、給料日に差し引かれる可能性がある。しかし、今更逃げ出す事も出来ない。手持ちの金も心許ない。ここまで来たら、高級ソープランドのボーイとして働くしかないと腹をくくる。

面接、スーツの仕立てが終わるといよいよ店に向かう。どうやら正午から開店をしている様子。まずは簡単な業務内容を聞く。客が来店をしたら、待合室に案内をする。そして、おしぼりとドリンクを提供。後は、交代制で店の前で立つ。しかし、店長の話によると、フリー客は滅多に来ず、ほぼ指名客や、予約客との事だった。そして、客を最寄り駅まで送迎の仕事。こちらは、鶯谷駅、地下鉄三ノ輪駅まで店の車を運転するとの事。

店の外観は古いが、内観は高級店らしく凝った作りであった。店内で何をするでも無く、突っ立って客を待つ。入浴料2万、サービス料4万、計6万の店には、どんな客が来るのだろうか、そして、ソープ嬢はどんな子がいるのかと興味が湧く。

ご案内します!と大声を上げて、店前にいた先輩にあたる年配の男性が客を通す。レジ前で座っていた店長も立ち上がり、いらっしゃいませと頭を下げる。勿論、突っ立っていた俺も店長の真似をする。

客は24.5の俺と変わらない男だった。しかし、着ている服は、素人目から見ても高そうであった。目配せをされた俺は、男を案内室に誘導し、冷たい押しぼりと、ドリンクの注文を聞く。どうやら指名客の様子。程なく女の子が現れ、手を取られながら、2階に上がっていく。

店長が客の背中に向かって、それでは天国へ案内致します、行ってらっしゃいませ!と声を張り上げる。同じ様に従業員も行ってらっしゃいませ!と追尾する。これは体育会系の店を選んでしまったと後悔をする。


続く。